認定NPO法人とくしまコウノトリ基金

魅力発信Blog

幸運の鳥が舞い降りるわけ

ヨーロッパから伝わったとされる「赤ちゃんを運んでくる鳥」のお話。日本ではコウノトリが幸運の鳥とされています。かつては日本の空を普通に飛び交い、人々に馴染み深い鳥であったからだと言われています。ただ、日本では昭和40年代半ばに、野生の姿を見ることはなくなりました。

△最多で20羽ほどが、舞い降りる。

●復活した野生のコウノトリ
コウノトリが生きていくための環境が損なわれたことが大きな原因のひとつにあげられます。河川の整備や田畑の環境変化で餌となる生き物が減り、また巣作りするための場所の確保も難しくなったことも関係していると考えられています。

そんなコウノトリですが、兵庫県立コウノトリの郷公園を中心とした多くの心ある人たちの手により復活の兆しを見せ始めています。平成19年(2007)に豊岡市(兵庫県)での野外繁殖の成功をきっかけに、徐々に増え始め、平成27年(2015)には徳島県内でも定着し始め、現在では鳴門市大麻町で野外繁殖が見られるようになりました。

△無数のメダカが泳ぐレンコン田。

いったいなぜ? コウノトリたちは繁殖地として大麻町を選んだのでしょう。

夏、繁殖地を訪ねると、青々とした葉を広げ、紅白に大輪の花を咲かせるレンコン田が広がっていました。田んぼに蓄えられた水は澄んで、無数のメダカが遊び、ミズスマシやゲンゴロウ、カブトエビをはじめとした水生動物が活発に活動している様子が、苦労することなく見透かせます。レンコンの葉の陰で休むアマガエルや水底を這うアメリカザリガニの姿もあちらこちらに。

△レンコンの大きな葉は、隠れるにも休むにも絶好の場所。
△畦に穴を開ける困った存在のザリガニも、コウノトリには格好の餌。

●幸いを運ぶ鳥
大麻町のレンコン田では、できるだけ自然に近く、生き物に負担をかけない耕作に取り組んできました。生産コストがかさみ、労力も多く必要となりますが、より安心で安全な農業が目指されたのです。結果、味が良く、色白で形のいいレンコンが育っています。

そうした活動のなかで、コウノトリにちなんだブランド認証も誕生し、少しずつ人気が高まっています。コウノトリに惹かれて、人も集まりはじめています。

いま伝説を振り返るほどに、コウノトリは、ふるさと徳島に「幸を運んでくれる存在」となっているようです。

本コーナー「魅力発信Blog」では、コウノトリが暮らす地域から生まれた特産品や自然、環境の保護に取り組む人たちや企業の活動などを通して、「幸運の鳥が舞い降りるわけ」について楽しく紹介していきます。ご愛読ください。

△花開く瞬間、ポンッと軽やかな音を立てるそうだ。

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